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武田昌輔税務会計論文集

武田 昌輔 著


第1刷発行日2001/06/25
判型A5判
ページ数584ページ
本体価格8,000円
定価
在庫状況在庫あり
ISBN978-4-8394-1938-7
内容
 税制は、基本的には租税を納税者に負担配分をすることであって、減免された者の分は他の納税者が負担していることを知るべきである。15年間の間に執筆した論文のうち、重要度の高いものを集め刊行する。

目次
Ⅰ 法人税―総論―

第1章 わが国の税務会計の発達の歴史
     ―1899年(明治32)~1950年(昭和25)―
 まえがき
 1 シャウプ勧告前における課税所得の算定の概要
   (1) 1899(明治32)年当時から1920(大正9)年までの課税所得の算定
   (2) 所得税法施行上取扱方心得(大正9年)と主秘第1号(昭和2年)
   (3) 昭和20年の公開通達の検討
   (4) 税務会計主要項目の検討
 2 シャウプ勧告と税務会計
   (1) 棚卸資産の経理
   (2) 減価償却
   (3) 資本的支出と修繕費
   (4) 貸倒準備金
   (5) 欠損の繰越し及び繰戻し
   (6) 資本と利益
   (7) 青色申告

第2章 税法と企業会計との調整の変遷
 まえがき
 1 税法と企業会計との調整
 2 税法と企業会計原則との調整意見書
 3 昭和34年における法人税法の改正(資産の取得価額・繰延費用等)
 4 法人税法の全文改正と「税法と企業会計との調整意見書」
 5 「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」の採用

第3章 法人税法における申告期限の沿革
     ―商法改正案(昭和49年)と関連して―
 まえがき
 1 株主総会開催日の伸長
 2 法人に対する所得税の課税総説(明治32年から大正8年まで)
     ―所得税の草創時代―
 3 大正9年から昭和18年まで
     ―法人課税の重視から戦争時代―
 4 昭和19年から昭和21年まで
     ―戦争末期から終戦―
 5 昭和22年から現在まで
     ―申告納税制度―
 6 主要諸外国における申告期限
   (1) アメリカ
   (2) イギリス
   (3) 西ドイツ
   (4) フランス
   (5) カナダ
   (6) その他の国
 7 むすび

第4章 課税所得の基本問題(上)
     ―法人税法22条を中心として―
 まえがき
 1 各事業年度の所得金額
 2 企業会計と収益の額及び費用・損失
 3 収益の額
 4 有償または無償による資産の譲渡

第4章 課税所得の基本問題(中)
     ―法人税法22条を中心として―
 5 有償または無償による役務の提供
 6 無償による資産の譲受けその他の取引
 7 違法所得(収益)
 8 当該事業年度の収益の額
 9 評価益

第4章 課税所得の基本問題(下)
     ―法人税法22条を中心として―
 10 収益計上の厳格性
 11 損金の額
 12 債務の確定
 13 債務確定の問題点
 14 資本等取引
 15 資本等取引と「その他の資本剰余金」

第5章 一般に公正妥当と認められる会計処理の基準
     ―法人税法22条を中心として―
 まえがき
 1 法22条第4項の設定の経緯
 2 法22条第4項の効用
 3 一般に公正妥当と認められる会計処理の基準
 4 「別段の定め」と法22条第4項
 5 一般に公正妥当と認められる会計処理の基準の確立

第6章 課税所得と企業利益
     ―課税所得は企業会計と袂を分かつべきか―
 まえがき
 1 戦前における課税所得の算定
 2 課税所得と企業利益の調整
 3 課税所得算定のための特例の検討
 4 課税所得は企業会計と袂を分かつべきか
 むすび
付録 課税所得は公正な会計基準から離脱すべきでない

第7章 確定決算基準主義の再検討
     ―企業会計と課税所得との軌跡を踏まえて―
 まえがき
 1 企業会計と商法の計算規定
 2 税法と企業会計
 3 確定決算基準主義の内容
 4 確定決算基準主義の今後の検討
 むすび

第8章 税務会計における深層を探る
 まえがき
 1 税務会計における深層
 2 資本等取引
 3 評価損益
 4 みなし配当

Ⅱ 法人税―各論―

第1章 法人税法における収益の概念
     ―社債発行差額について―
 まえがき
 1 収益の概念
 2 社債発行差額の性格と処理
 3 打歩発行の場合の発行差額の性格
 4 打歩発行差額の税法上の取扱い

第2章 商品券等の収益計上基準
 まえがき
 1 収益の実現
 2 商品券,図書券,その他プリペイド・カードの収益の実現
 3 プリペイド・カードに対する課税上の問題点

第3章 寄附金の損金算入限度額設定の法理
 まえがき
 1 寄附金の定義と損金不算入の沿革
 2 寄附金の損金参入限度額の設定
 3 寄附金概念の変貌
 4 寄附金制度の改善方策

第4章 買主の固定資産税相当額の法人税法等の取扱い
     ―アメリカ税法の取扱いを中心として―
 まえがき
 1 アメリカ税法における売手及び買手の固定資産税の取扱い
 2 アメリカ税法の1954年の改正の経緯
 3 「固定資産税相当額」の取扱いの問題点

第5章 更正の期間制限とその後の損益との関係
 まえがき
 1 増額更正の期間制限とその後の処理
   (1) 仮装・隠ぺいの場合
   (2) 架空の費用・損失を計上した場合
   (3) 交際費等の原価算入の場合
 2 減額更正の場合
   (1) 減額更正の場合のその後の事業年度における処理
   (2) 当該事業年度における欠損金が多額となる場合
   (3) その他の問題

第6章 時価評価と課税問題
     ―配当可能利益と課税所得―
 まえがき
 1 株式の評価方法
 2 配当可能利益
 3 課税面における検討
 おわりに

第7章 税務上の形式基準の性格とその課題
 まえがき
 1 形式基準の意味内容
 2 取扱通達における形式基準
 3 形式基準の必要性と今後の方向

第8章 課税における形式主義と実質主義
     ―取締役の忠実義務に関連して―
 まえがき
 1 真正の事実
 2 真正の事実と税法的事実の認定
 3 取締役の権限とその賠償責任
 4 取締役の損害賠償責任と課税所得
 5 取締役に対する認定賞与の問題

第9章 法的事実と税法的事実
     ―経済的観察の重視―
 まえがき
 1 法的事実と税法的事実
 2 税法的事実と事実の認定
 3 税務における経済的事実の優先

第10章 法人課税小委員会報告(平8.11)の今後の在り方について
 まえがき
 1 法人税率と課税ベースの拡大
 2 平成9年度税制調査会答申
 3 報告の内容と改正の手続きの問題点
 4 今後の展望

第11章 法人税課税ベース見直し方向の検証
     ―総論・引当金・減価償却―
 まえがき
 1 課税所得の基本的な考え方について
 2 引当金に関する問題
   (1) 「報告」における論点
   (2) 検討すべき点
 3 減価償却
   (1) 「報告」における論点
   (2) 検討すべき点

第12章 法人税の税率の引下げ
 まえがき
 1 法人税率を35%とすることが妥当とする考え方
 2 課税ベースの拡大
 3 中小企業等の軽減税率

第13章 抽象的規定の類型と税務判断基準
 まえがき
 1 抽象的規定の必然性
 2 抽象的基準と形式基準
 3 抽象的基準の曖昧性
 4 抽象的基準における解釈の重要性

第14章 不確定概念規定の解釈方法の検討
 まえがき
 1 税法における不確定概念
   (1) 「著しく」の用いられている規定
   (2) 「不相当に,相当,不当に,不適当」
   (3) やむをえない事情
 2 不確定概念に対する税務上の措置
 3 不確定概念の問題点

第15章 自己株式取得と税務取扱い
 まえがき
 1 商法における自己株式の取得の見直しの概要
   (1) 使用人に譲渡するための自己株式の取得
   (2) 利益による株式の消却をするための自己株式の取得
   (3) 株式の売渡請求につき取締役会の承認を要する場合の自己株式の取得
   (4) 株主の相続の場合の自己株式の取得
 2 自己株式についての現行税務上の問題点
 3 商法改正案に対する課税の問題点
   (1) 使用人に譲渡するための自己株式の取得
   (2) 利益による株式消却のための自己株式の取得
   (3) 会社の株式売渡請求につき取締役会承認の場合の自己株式の消却
   (4) 株主の相続の場合の自己株式の取得

第16章 商法改正要綱における自己株式の移転と課税所得
 まえがき
 1 要綱五における自己株式の移転
 2 自己株式の移転と合併交付金
 3 資本準備金

第17章 改正商法における自己株式の移転等と課税問題
 まえがき
 1 改正商法と合併による資本増加限度額
 2 合併差益と評価益の問題
   (1) 清算所得課税の問題
   (2) 譲渡所得課税の問題
 3 合併による資本増加最高限度額の問題点

第18章 合併をめぐる今日的問題点
 まえがき
 1 最近における合併の態容
 2 合併に対する課税上からの視点
 3 合併の税法における問題点
   (1) 著しく不均衡な合併比率
   (2) 自己株式の消却損益
   (3) 抱合株式の消却損益
   (4) その他

第19章 商法における合併の改正の概要と税法
 まえがき
 1 商法における合併の改正の概要
   (1) 吸収合併の場合の報告総会(旧商法412)および新設合併の場合の創立総会(旧商法413)の廃止
   (2) 合併比率の理由書の添付(商法408ノ2①Ⅱの改正)
   (3) 承認総会(商法408)の前に本店に備え置くべき書類の充実(商法408ノ2の改正)
   (4) 自己株式の消滅会社の株主への移転(商法409ノ2の新設)
   (5) 債権者保護手続の合理化(商法100,412の改正)
   (6) 合併による増加資本の額及び資本の額(商法413ノ2の新設)
   (7) 簡易な合併手続の創設(商法413ノ3の新設)
   (8) 事後開示制度の創設(商法414ノ2の新設)
   (9) 設立委員会制度の廃止(旧商法56③,④)
   (10) 合併に係る取締役・監査役の任期(商法414ノ3の新設)
   (11) 異なる種類の会社の合併として有限会社同士の合併による株式会社の設立及び株式会社同士の合併による有限会社の設立の追加(有限会社法59,60の改正)
 2 商法の合併の改正と税法
   (1) 合併による合併存続会社の資本増加限度額
   (2) 自己株式移転と譲渡損益
   (3) 消滅会社の株主の課税問題
   (4) 自己株式の移転と清算所得課税

第20章 今後のM&Aと税制
 まえがき
 1 税法における譲渡と合併
 2 会社分割の規定
 3 株式交換
 4 株式移転
 5 株式交換等の課税措置の問題点

第21章 減資等の場合のみなし配当雑観
 まえがき
 1 減資とみなし配当
 2 利益をもってする株式の消却の場合のみなし配当
 3 再評価差額金をもってする株式の消却

第22章 会社再編の場合の簿価引継基準の問題点
 まえがき
 1 法人税法51条の帳簿価額の引継ぎ
 2 株式交換の場合の帳簿価額の引継ぎ基準
 むすび

第23章 会社分割税制の問題点
 まえがき
 1 会社分割税制の沿革と基本的な考え方
 2 会社分割における新設分割と吸収分割
 3 事業の継続と支配基準の問題
 4 租税回避の問題

第24章 会社合併・分割・株式交換等に伴う評価益に対する課税の繰延
     ―会社合併等の清算所得課税の廃止論―
 まえがき
 1 合併の場合の評価益に対する課税
 2 みなし合併交付金の廃止の問題
 3 株主に対するみなし配当
 むすび

第25章 会社分割における譲渡損失
     ―譲渡損失の繰延べは妥当でない―
 まえがき
 1 譲渡損益の繰延べ
 2 分割会社と新設会社等との関係
 3 一定の条件の下での譲渡損失の課税繰延べ
 4 現行法51条の譲渡損失の見直し

第26章 会社分割の税制の系譜と今後の方向(上)
 まえがき
 1 会社分割税制の背景
   (1) 昭和17年当時の企業合同等に対する課税
   (2) 戦後における会社分割の課税の特例
   (3) 昭和40年法による会社分割
   (4) 平成11年の共同出資に対する特例

第26章 会社分割の税制の系譜と今後の方向(下)
 まえがき
 2 商法における会社分割の概要
   (1) 総説
   (2) 新設分割
   (3) 吸収分割
 3 会社分割に対する今後の税制
   (1) 総説
   (2) 法人税法51条と営業の承継との関係
   (3) 吸収分割の問題点
   (4) その他の問題

第27章 資産の交換に関する課税と企業再編税制
 まえがき
 1 資産交換に関する課税
 2 企業再編税制の基本的な考え方
 3 合併税制の問題点

第28章 連結納税制度導入議論の焦点
 まえがき
 1 連結納税制度を巡る論議
 2 法人課税小委員会報告における連結納税制度についての要約
 3 連結納税制度の今後の方向

第29章 清算所得課税とキャピタル・ゲイン
 まえがき
 1 わが国の清算所得課税の沿革
 2 清算所得課税の仕組み
 3 清算所得課税の検討
 4 清算所得課税の問題点
 5 有価証券移転税の経緯

第30章 赤字法人への課税強化とその問題点
 まえがき
 1 赤字法人の問題
 2 赤字法人の分類
 3 赤字法人の対策
 4 欠損の繰越しと繰戻し

Ⅲ 所得税・相続税・消費税等

第1章 株式譲渡所得には総合課税は適さない
     ―源泉分離課税も一つの選択肢―
 まえがき
 1 株式の譲渡所得課税の小沿革
 2 総合課税方式と分離課税方式
 3 損益通算の問題
 4 有価証券の分離課税の問題
 [補遺] 当面の源泉分離課税についての所感

第2章 役員賠償責任保険と所得税の問題点
 まえがき
 1 D&O保険の概要
 2 D&O保険の保険料と所得税
 3 D&O保険の受取保険金と所得税
 4 D&O保険に対する税法上の措置

第3章 相続税の今後の在り方
 まえがき
 1 相続税の創設とその根拠
 2 相続税の現状と問題点
 3 相続税に対する基本問題

第4章 バブルの崩壊と相続税問題
 まえがき
 1 現行相続税における財産評価と税率
 2 相続財産の評価
 3 基礎控除,税率等の問題
 4 相続税に関する今後の検討問題
   (1) 土地等の評価
   (2) 基礎控除の大幅な引上げ
   (3) 税率の大幅な引下げ

第5章 相続税の改善構想
 まえがき
 1 相続税の基本的なあり方
 2 課税価格の算定上の問題点
 3 遺言執行人の費用等の控除
 4 その他の問題
   (1) 物納に関する譲渡所得の課税
   (2) 土地の取得価額の評価の特例の廃止

第6章 消費税における「消費」について
 まえがき
 1 「消費税」の仕組み
 2 課税外品目(1)
     ―土地・有価証券の譲渡等―
 3 課税外品目(2)
     ―収入利子・収入保険料―
 4 医療・福祉・教育
 むすび

第7章 消費税の構造と法人税との関連
 まえがき
 1 消費税における課税構造
 2 課税売上高の確定の問題
 3 課税仕入れの期間計算
 4 帳簿の備付けと申告の問題

第8章 法人税と消費税の計算構造
 まえがき
 1 法人税の計算構造
 2 インボイス方式とアカウント方式
 3 消費税の計算構造
 4 法人税と消費税との関連

第9章 土地の再評価をめぐる諸問題
 まえがき
 1 第一次再評価の内容
 2 第二次再評価及び第三次再評価
 3 企業会計と再評価