画像がありません

現代監査の理論
フランス監査制度に関する研究

蟹江 章 著


第1刷発行日2001/11/02
判型A5判
ページ数328ページ
本体価格4,300円
定価
在庫状況在庫あり
ISBN978-4-8394-1946-2
内容
 国際的に通用する監査制度を確立するためには、アメリカの動向だけでなく、フランスの監査制度を研究する必要がある。いま、求められる監査に関する理論的解明を試みる。


序論 フランス監査制度研究の意義
  監査主体という側面から
  会計監査役の職務という側面から
  本書の構成

第Ⅰ部 会計監査役の資格と責任

第1章 フランス監査制度の生成過程
 1 はじめに
 2 会計監査に対する認識の変遷
  (1) 経営者行動の監視と会計監査
   ① 会計監査の起源
   ② 「行為の監査」としての会計監査
  (2) 経営者に対する不信感と監査
   ① 合資会社における監査
   ② 株式会社における監査
  (3) 監査人の選任と資格要件
   ① 株主の代表としての監査人
   ② 監査人の資格の拡大
   ③ 専門的能力の欠如
  (4) 監査人の職務権限
 3 監査主体選任の要件とその変遷
  (1) 経営者の裁量による選任
  (2) 株主の代表
  (3) 専門的能力の要求
 4 監査職務の変遷
  (1) 「行為の監査」の出現と監査の制約
  (2) 株式会社における「行為の監査」と事前監査・事後監査
  (3) 合資会社における監査
  (4) 会計監査職務の明確化
  (5) 監査職務に関する認識の対立
  (6) 「行為の監査」の確立と監査役の職務の拡張
 5 むすび

第2章 「名簿」登録制度と会計監査役の職業組織
 1 はじめに
 2 地方登録委員会
 3 「名簿」への登録要件
  (1) 形式的要件
  (2) 実質的要件
   ① 職業研修
   ② 活動報告書
   ③ 研修証明書
   ④ 会計監査役の職務に関する能力試験
   ⑤ 登録要件にかかわる例外
  (3) 会計監査役会社の「名簿」への登録
 4 「名簿」への登録手続
 5 全国登録委員会
 6 会計監査役の職業組織
  (1) 地方協会と地方評議会
  (2) 全国協会と全国評議会
 7 懲戒制度の意義と手続
  (1) 懲戒制度の意義
  (2) 懲戒制度の手続
 8 むすび

第3章 会計監査役の要件
 1 はじめに
 2 会計監査役の能力と精神的独立性
  (1) 専門的能力
  (2) 独立の精神状態
  (3) 職務の受諾・継続
  (4) 公正不偏な判断と会計監査役の意思
 3 会計監査役の外見的独立性
  (1) 欠格事由
   ① 一般欠格事由
   ② 特殊欠格事由
 4 会計監査役の独立性と全国倫理委員会
 5 むすび

第4章 会計監査役の責任
 1 はじめに
 2 民事責任の論理と認定
  (1) 会計監査役の民事責任にかかわる基本論理
  (2) 過失の意義と認定
   ① 手段債務に基づく過失とその認定
   ② 結果債務に基づく過失とその認定
  (3) 会計監査役としての資格等にかかわる過失責任
  (4) 職務の実施にかかわる過失責任
   ① 監査職務にかかわる過失責任
   ② その他の職務にかかわる過失責任
  (5) 民事責任と民事責任保険
 3 刑事責任の論理と認定
  (1) 会計監査役の刑事責任にかかわる基本論理
  (2) 会計監査役の資格にかかわる違法行為と刑事責任
  (3) 職務の実施にかかわる違法行為と刑事責任
   ① 欠格事由違反
   ② 会計監査役に対する信頼を損なう違法行為
   ③ 違法行為の告発義務違反
 4 会計監査役の懲戒責任
  (1) 懲戒責任の成立要件
   ① 会計監査役の資格にかかわる懲戒責任
   ② 会計監査役の職務遂行に起因する懲戒責任
  (2) 懲戒処分
 5 むすび

第Ⅱ部 会計監査役の職務と役割

第5章 会計監査役監査の制度的枠組みと監査基準
 1 はじめに
 2 会計監査役監査の制度的枠組み
  (1) 商事会社法の監査規程
  (2) 監査職務に関する規定
  (3) 付帯的職務
 3 監査基準の体系と「前文」の意義
  (1) 監査基準の体系
  (2) 「前文」の意義
   ① 会計監査役の職務の本質および役割
   ② 会計監査役および経営者の責任
   ③ 手段債務
   ④ 経営への非干渉の原則
   ⑤ 職務上の助言および勧告
   ⑥ 職務の継続性
   ⑦ 個人的判断の重要性
   ⑧ 組織的業務遂行と個人的関与
   ⑨ 自由職業に固有の規則の遵守
 4 「職業行動基準」の構造の意義
 5 「実施基準」の構造と意義
 6 「報告基準」の構造と意義
 7 その他の職務に関する基準
 8 むすび

第6章 会計監査役の基本職務
 1 はじめに
 2 計算書類の監査
  (1) 監査の主題と手法
  (2) 立証命題と立証プロセス
  (3) 監査意見形成の論理
   ① 非監査企業にかかわる全般的リスク
   ② 処理された取引の性質および金額にかかわるリスク
   ③ 取引の把握・処理システムの構想および機能にかかわるリスク
   ④ 監査手続にかかわる非摘発リスク
   ⑤ 重要性の水準
 3 特別な検証の内容と手法
  (1) 特別な検証に含まれる職務
   ① 商事会社法の監査規定に基づく職務
   ② 商事会社法の監査規定以外の規定に基づく職務
   ③ 企業の経営難予防法に基づく職務
   ④ 商事会社法の監査規定に基づく特別な職務(特別な情報提供)
  (2) 検証の手法
 4 特別な検証と行為の監査
 5 むすび

第7章 基準違反・違法行為と会計監査役の役割
 1 はじめに
 2 表現の監査における法令・基準違反等への対応
 3 行為の監査としての法令・基準違反等への対応
 4 会計監査役による告発義務の枠組み
  (1) 告発義務の対象事項
  (2) 違法行為の重要性と故意性
  (3) 違法行為の告発手続
 5 告発義務の意義
 6 むすび

第8章 継続企業問題への対応と警告手続
 1 はじめに
 2 継続企業問題と関西圏の形成
  (1) 経営の継続性の意義
  (2) 経営の継続性の評価と監査意見の形成
 3 継続企業問題と監査意見の表明
  (1) 経営の継続性に未確定事項が存在する場合の監査意見
  (2) 経営の継続性が決定的に損なわれている場合の監査意見
 4 継続企業問題と監査報告書
 5 警告手続と経営の継続性の評価
 6 警告手続の構造
  (1) 第一段階
  (2) 第二段階
  (3) 第三段階
  (4) 第四段階
 7 警告手続特別報告書に基づく警告手続の分析
 8 むすび

第9章 監査意見と監査報告書
 1 はじめに
 2 監査意見の種類と意義
  (1) 表現の監査の監査意見
   ① 無限定証明
   ② 限定付証明
   ③ 証明拒否
   ④ 意見差控えとしての証明拒否
  (2) 行為の監査の監査意見
 3 「期待ギャップ」と監査報告書様式の改訂
  (1) 監査報告書様式の改訂理由
   ① 企業の経営に関して
   ② 会計および会計情報に関して
  (2) 監査報告書の様式の改訂点
 4 監査報告書の構造とメッセージ
  (1) 監査報告書の形式要件
  (2) 年度計算書類に対する一般監査報告書
   ① 年度計算書類に対する一般監査報告書の構造とメッセージ
   ② 連結計算書類に対する監査報告書
 5 監査報告書の実例分析
  (1) 無限定意見報告書
  (2) 限定付意見報告書
   ① 監査手続上の制約を理由とする限定
   ② 未確定事項の存在を理由とする限定
  (3) 注意喚起事項
   ① 経営の継続性にかかわる注意喚起事項
   ② 会計方法の変更に関する注意喚起事項
   ③ 経営の継続性以外の未確定事項に関する注意喚起事項
 6 むすび

結語

付録
 付録1 商事会社法監査規定
 付録2 1969年大統領令
 付録3 監査基準(抄)
 付録4 職業倫理規則(抄)

参考文献
 外国語文献
 日本語文献

索引