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監査・会計構造の研究
通時態の監査論

佐々木 隆志 著


第1刷発行日2002/10/15
判型A5判
ページ数316ページ
本体価格4,200円
定価
在庫状況在庫あり
ISBN978-4-8394-1961-5
内容
 企業会計構造と財務諸表監査とを一体のものとして観察し分析。企業会計の共時的並びに通時的な構造を分析し位置づけ、企業会計の構造変化を監査はどう受け止めるべきかを考察。


序章 研究領域の限定,問題意識および本書の構成
 1 研究領域の限定
 2 企業会計の変貌
 3 監査の多様化と領域拡大
 4 本書の構成

第1編 財務諸表監査と会計構造の関係

第1章 監査と会計構造
     ―監査の二機能・考―
 1 はじめに
 2 財産法・損益法と監査
 3 監査における指導的機能と批判的機能
 4 むすび

第2章 線の監査と点の監査
 1 はじめに
 2 監査思考の系譜
 3 監査証跡提供ツールとしての簿記
 4 線の監査と点の監査
 5 むすび

第3章 企業会計および監査における真実性の原則
 1 はじめに
 2 真実性の淵源
  (1)貸借対照表真実性の原則
  (2)絶対的真実性と相対的真実性
 3 企業会計原則における真実性の原則
 4 企業会計の記号相補性と監査上の特徴
 5 むすび

第4章 簿記・会計の分立と監査の二極化
     ―会計構造と監査との関連―
 1 はじめに
 2 簿記・会計の分立
    ―20世紀の会計と21世紀の会計―
 3 監査の二極化
    ―基準準拠性と実質優先性―
 4 むすび

第2編 監査の前提としての企業会計構造:抽出と分析

第5章 会計構造とドイツ貸借対照表論
 1 はじめに―ドイツ貸借対照表論概説―
 2 貸借対照表観の三態―動態論・静態論・有機論―
 3 貸借対照表論の二類型
    ―フロー貸借対照表観とストック貸借対照表観―
  (1)貸借対照表論の分類
  (2)貸借対照表「観」について
 4 会計観の二類型
    ―現実写像的会計観と記号相補的会計観―
  (1)素朴な疑問点
  (2)資金計算書の類型とドイツ語圏の資金計算書観
  (3)会計観の二相
 5 むすび

第6章 フロー貸借対照表観の原型と展開
 1 はじめに―動態論総説―
 2 フロー貸借対照表観の原型
    ―シュマーレンバッハ貸借対照表論―
  (1)動的貸借対照表の概要
      ―合致の原則と貸借対照表―
  (2)動的貸借対照表におけるフロー概念
    §1 収入・支出の定義―現金フロー―
    §2 給付・費消の定義―成果フロー―
    §3 収入・支出・給付・費消の相互関係
    §4 貸借対照表項目としての収入・支出・給付・費消の意味
    §5 貸借対照表項目としてのフロー概念について
  (3)動的貸借対照表形式構造の展開
    §1 単式簿記型―シュマーレンバッハ理論の原型―
    §2 複式簿記型―複式簿記構造の導出―
  (4)動的貸借対照表の構造と企業会計
 3 フロー貸借対照表観の展開
    ―ワルプおよびコジオールの貸借対照表観―
  (1)動態論と収支概念
  (2)支払系列貸借対照表―ワルプの貸借対照表論―
    §1 支払系列・給付系列「合致」の論理と収支概念の拡張
    §2 支払系列・給付系列「合致」の論理の矛盾
    §3 収支概念拡張の実質的意味
    §4 支払系列在高貸借対照表
  (3)パガトリッシュ貸借対照表
      ―コジオールの貸借対照表論―
    §1 パガトリッシュ貸借対照表の成立経緯
    §2 全期間損益計算と期間損益計算
    §3 実現概念の意味と組織的単式簿記
    §4 パガトリッシュ在高貸借対照表
  (4)貸借対照表と損益計算
    §1 期間計算の重視
    §2 貸借対照表の貸借不均衡
    §3 《ストック》変動としてのフローと取得原価主義
 4 むすび

第7章 ストック貸借対照表観の原型と展開
 1 はじめに―静態論と有機論―
 2 ストック貸借対照表観の原型
    ―旧静態論および新静態論―
  (1)売却時価評価の財産目録(旧静態論1)
      ―帝国高等商事裁判所1873年判例の通説時解釈―
  (2)多元的評価の財産目録(旧静態論2)
      ―シェアーの勘定理論と貸借対照表観―
  (3)原価評価の財産目録(新静態論)
      ―ル・クートルの貸借対照表論―
    §1 取得原価主義の財産目録―旧静態論的側面―
    §2 調達・運用状態の表示―新静態論的側面―
  (4)新旧静態論と動態論
 3 ストック貸借対照表観の展開
    ―シュミットの有機的貸借対照表論―
  (1)動態論・静態論の貸借対照表観と有機論総説
  (2)有機的時価貸借対照表論の概要
    §1 有機論の成立経緯
    §2 有機論の主張
    §3 損益計算の二義性
        ―フロー体系の理論的優位性―
  (3)有機的時価貸借対照表の構造
    §1 フロー体系における資本維持の意味
    §2 投機的取引の意味と借方資本維持
  (4)有機論の別形態
    §1 良動的貸借対照表論
        ―ゾムマーフェルトの貸借対照表論―
    §2 損益計算書の段階構造
 4 むすび―ストック貸借対照表としての在高貸借対照表―

第8章 貸借対照表論考
 1 はじめに―資金計算書論について―
 2 資金会計論とドイツ貸借対照表論の帰結
  (1)運動貸借対照表論―1940年代以前の資金会計論―
  (2)資金運動計算書論―1970年代以前の資金会計論―
    §1 フォン・ヴィゾッキィの資金運動計算書論
        ―アメリカ・財政状態変動表の理論と,ドイツ語圏・ケーファー,ブッセ・フォン・コルベ,トームス理論―
    §2 西ドイツ経済監査士協会専門委員会意見書
    §3 財政状態変動表と運動貸借対照表
  (3)キャッシュ・フロー計算書論
      ―会計構造への位置づけ方―
    §1 貸借対照表および損益計算書からの独立性
    §2 情報の有用性について
    §3 複式簿記からの誘導
    §4 現実写像性の超克
  (4)ドイツ資金会計論のそうあったはずの帰結
 3 貸借対照表論考
  (1)諸貸借対照表論の位置づけ
    §1 貸借対照表観の分岐点について
    §2 動態論・静態論の着眼点
    §3 評価基準と分類枠組みの基本形
    §4 分類枠組みの展開
  (2)現実写像的思考とフロー・ストック
    §1 原フロー貸借対照表―合計試算表―
    §2 原ストック貸借対照表―財産目録―
  (3)記号相補的思考とフロー・ストック
    §1 合計試算表と財産目録の関係
    §2 記号主体的なフロー・ストック概念
  (4)写像的および相補的会計観と複式簿記体系
  (5)貸借対照表における時価と原価
 4 むすび

第3編 監査・会計構造の論理

第9章 通時的企業会計構造
 1 はじめに
 2 カメラル的思考と企業会計
 3 通時的企業会計構造
  (1)貸借対照表構造
  (2)19世紀の会計と20世紀の会計
  (3)21世紀の会計
 4 記録・報告の二視点と過去・将来の二視点
 5 むすび

終章 監査の二焦点と納得の監査論
     ―過去記録と将来予測の間で―
 1 はじめに
 2 会計構造研究の今日的課題
 3 会計構造と監査の二焦点
    ―過去記録監査と将来予測監査―
 4 二重責任の原則について
 5 むすび


 文献