商法と税法の研究
会計包括規定と計算実体規定の比較
田中 久夫 著
第1刷発行日
2005/04/05
判型
A5判
ページ数
316ページ
本体価格
3,800円
定価
在庫状況
在庫あり
ISBN
978-4-8394-2007-9
目次
序章
1 会計基準の国際的調和と商法,税法
2 会計,商法および税法の調整に関する従来の視点
3 税法優先の実態
4 会計の国際性と商法,税法の国内性
第Ⅰ部 商法と税法における計算原理と会計包括規定
第1章 問題の所在
1 序論―商法と税法の接点―
2 税法の会計依存
3 商法の会計依存
4 商法と税法の関係
第2章 商法の利益計算原理の体系
1 商法と商法施行規則
(1) 商法
(2) 商法施行規則
(3) 商法特例法
2 商法における基本目的の変化
(1) 産業構造・市場経済の変化と会計における「評価」の変化
(2) 商法における基本目的の変化
3 商法における「利益配当規制」の構造
(1) 商法における配当規制の論理
(2) 利益配当規定の検討
4 2つの配当規制方式とその変容―会計と商法の乖離―
第3章 税法の所得計算原理の体系
1 税法における課税所得計算の構造
2 「確定決算基準」
3 「税効果会計」の制度化―会計と税法の乖離―
(1) 税効果会計
(2) 繰延税金資産
(3) 税法計算基準の自由化
第4章 商法と税法における「会計包括規定」
1 「会計包括規定」の意義
2 商法における「公正ナル会計慣行」規定
(1) 「公正ナル会計慣行」規定の制定経緯とその従来的解釈
(2) 「公正ナル会計慣行」の最近の解釈
3 税法における「公正会計基準」規定
(1) 立法理由
(2) 沿革
(3) 「公正会計基準」の内容
第Ⅱ部 商法と税法における計算実体規定
―商法と税法の乖離―
第5章 商法と税法の貸借対照表観と資産会計の論理
1 財産法と損益法
(1) 財産法的利益計算構造
(2) 損益法的利益計算構造
2 商法の貸借対照表観と資産会計の論理
(1) 貸借対照表観
(2) 資産会計の論理
3 税法の貸借対照表観と資産会計の論理
(1) 貸借対照表観
(2) 資産会計の論理
第6章 商法と税法の損益計算書観と商法利益,税法所得の概念
1 商法における損益計算書項目に対する「間接的規制」
2 2つの損益計算書方式とその相違点
3 商法の損益計算書観と商法利益の概念
(1) 損益計算書観
(2) 商法利益の概念
4 税法の損益計算書観と税法所得の概念
(1) 損益計算書観
(2) 税法所得の概念
第7章 流動資産の評価
1 流動資産の定義
2 商法における評価規定
3 税法における評価規定
(1) 法人税法33条にいう評価損の損金不算入規定
(2) 税法における棚卸資産の評価
第8章 固定資産の評価および減価償却
1 固定資産の定義および範囲並びに減価償却の意義および目的
(1) 固定資産の定義
(2) 減価償却の意義および目的
2 商法における固定資産の評価
(1) 評価の原則
(2) 取得価額
(3) 減価償却について
(4) 予測不能減損の控除
3 商法の「相当の償却」と「相当の減額」
4 税法における固定資産の評価
(1) 評価の原則
(2) 取得価額
(3) 減価償却について
(4) 評価減額の処理
(5) 資本的支出と修繕費
5 税法の減価償却制度
(1) 画一的原価償却計算の法定主義
(2) 償却費計上の任意主義
(3) 「特別償却」制度の認容
6 「減損会計基準」
(1) 固定資産に係る「減損会計」の導入
(2) 「日本版減損会計」
(3) 「日本版減損会計」の特徴
第9章 金銭債権の評価
1 金銭債権の定義および認識
2 商法における評価規定
(1) 評価の原則
(2) 相当の減額
(3) 「取立不能見込額」の控除
(4) 時価評価の認容
3 税法における評価規定
(1) 評価の原則
(2) 貸倒損失
(3) 貸倒引当金
4 「金融商品会計基準」
(1) 金銭債権の貸借対照表価額
(2) 貸倒見積額の算定
第10章 有価証券の評価
1 商法および税法における有価証券の定義と評価の原則
(1) 商法における有価証券の定義と評価原則
(2) 税法における有価証券の定義と評価原則
2 商法における評価「特則」
(1) 社債等の評価特則
(2) 株式等の評価特則
3 税法における評価「特則」
(1) 売買目的有価証券
(2) 売買目的外有価証券
第11章 のれん(暖簾)の評価
1 のれん(暖簾)の定義
2 商法におけるのれん
(1) 総論
(2) 合併によるのれんの計上
3 税法における営業権
(1) 営業権
(2) 営業権の償却方法
第12章 繰延資産
1 費用繰延べの論理
2 商法における繰延資産
3 税法における繰延資産
第13章 引当金
1 引当金の定義
2 商法における引当金
(1) 商法施行規則43条の解釈
(2) 引当金の記載方法等
3 税法における引当金と準備金
(1) 債務確定主義に対する「別段の定め」
(2) 税法における引当金各論
(3) 税法における準備金
第14章 資本金および資本剰余金等
1 商法および税法の資本および利益観
2 商法における資本金および資本剰余金
(1) 資本三原則
(2) 法定資本と株式払込剰余金
(3) 平成13年商法改正
(4) 資本準備金の概念と目的
(5) 資本準備金の源泉
3 税法における資本金および資本積立金
(1) 法人擬制説と資本等取引
(2) 資本積立金額
4 貸借対照表の「資本の部」
第15章 利益剰余金等
1 利益剰余金の定義
2 商法における利益剰余金
(1) 利益準備金
(2) 任意準備金
3 税法における利益積立金
(1) 利益積立金額
(2) 同族会社の留保金課税の概要
4 受贈剰余金
(1) 会計と商法,税法における資本概念
(2) 「圧縮記帳」の意義
(3) 商法における「圧縮記帳」
(4) 税法における「圧縮記帳」
5 評価替剰余金
(1) 評価替資本の定義
(2) 現行会計における資産評価の原則と期間損益計算構造
(3) 商法における「評価益」の処遇
(4) 税法における「評価益」の処遇
第Ⅲ部 商法と税法における今後の展開
第16章 終章―会計,商法および税法の自由化―
1 商法と税法の調整―商法と税法の接点再論―
2 会計,商法および税法における今後の展開