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会計測定の基礎理論

和田 博志 著


第1刷発行日2008/12/15
判型A5判
ページ数216ページ
本体価格3,400円
定価
在庫状況在庫あり
ISBN978-4-8394-2072-7
内容
 多種多様な会計処理から個別具体的な要素を捨象すると最終的に何が残るかをテーマに米国の財務会計基準審議会が公表した一連の財務会計概念書を解明。現行会計実践を解明する会計測定論の構築を試みた。

目次
序章 会計測定論の再構築に向けて
 0.1 現行会計実践における会計理論上の諸問題
  0.1.1 会計測定値の加法性
  0.1.2 測定対象の二元化
 0.2 理論構築の方法
 0.3 資産負債観と収益費用観の再検討
 0.4 本書の構成と概要

第1部 未来志向的貸借対照表論の展開

第1章 現在価値測定の制度化と期待キャッシュフロー・アプローチの提唱
 はじめに
 1.1 貸付金減損会計への現在価値測定の導入
  1.1.1 SFAS114号公表の背景
  1.1.2 SFAS114号の概要
  1.1.3 小括
 1.2 長期性資産減損会計への現在価値測定の導入
  1.2.1 SFAS121号公表の背景
  1.2.2 SFAS121号の概要
  1.2.3 小括
 1.3 FASB概念フレームワークの新展開
  1.3.1 SFAC5号における現在価値に基づく会計測定に関する叙述の不備
  1.3.2 不確実性とリスクの会計測定への反映
 1.4 期待キャッシュフロー・アプローチの提唱
  1.4.1 期待キャッシュフロー・アプローチの概要
  1.4.2 期待キャッシュフロー・アプローチの導入による会計思考の変化

第2章 未来志向的貸借対照表の台頭
    ―SFAC公開草案の分析を手がかりとして―
 はじめに
 2.1 99年版公開草案における変更点(その1)
  2.1.1 公正価値と主体固有価値
  2.1.2 主体固有価値削除の理由
  2.1.3 小括
 2.2 99年版公開草案における変更点(その2)
  2.2.1 負債の公正価値測定を巡る議論の概観
  2.2.2 97年版公開草案における負債の測定目的および信用状態の反映
  2.2.3 負債測定に関する変更点
  2.2.4 小括
 2.3 貸借対照表の未来志向的解釈
 2.4 キャッシュフロー計算書の新たな役割

第3章 会計測定値の「意味」
    ―SFAC7号の分析を手がかりとして―
 はじめに
 3.1 会計測定における公正価値の位置づけ
  3.1.1 測定基準としての現在価値
  3.1.2 公正価値の定義
  3.1.3 測定対象の明確化
  3.1.4 指標としての公正価値
 3.2 会計測定における市場価格の位置づけ
  3.2.1 未来志向的数値としての市場価格
  3.2.2 測定基準の統合
 3.3 指標としての会計測定値

補論1 Kirkegaardの未来志向的貸借対照表
 はじめに
 補1.1 基礎概念の必要性
 補1.2 「支払能力」に関する情報の重要性
 補1.3 伝統的財務諸表の欠点
 補1.4 新しい諸概念の提示
  補1.4.1 会計および財務諸表の定義
  補1.4.2 資産・負債の定義
  補1.4.3 貸借対照表の定義
 補1.5 Kirkegaard学説の評価

第2部 フロー志向的会計測定論の展開

第4章 会計測定と複式簿記
 はじめに
 4.1 分類的複式簿記と因果的複式簿記
  4.1.1 分類的複式簿記
  4.1.2 因果的複式簿記
  4.1.3 両者の共通点と相違点
 4.2 「フロー測定システム」としての複式簿記
 4.3 分類的複式簿記に基づく現行会計実践の解釈
  4.3.1 測定対象と測定基準の分離
  4.3.2 測定対象の抽象性
  4.3.3 測定基準として取得原価のみが用いられてきた理由
 4.4 信頼性から忠実な表現へ

第5章 会計測定の対象と測定基準
    ―FASB概念フレームワークとIASB概念フレームワークの比較考察―
 はじめに
 5.1 FASB概念フレームワークの措定する測定対象
  5.1.1 FASB概念フレームワークにおける表現の忠実性
  5.1.2 収益・費用の定義
  5.1.3 小括
 5.2 IASB概念フレームワークの措定する測定対象
  5.2.1 IASB概念フレームワークにおける表現の忠実性
  5.2.2 収益・費用の定義
  5.2.3 小括
 5.3 FASB概念フレームワークにおいて想定されている会計測定観
 5.4 IASB概念フレームワークにおいて想定されている会計測定観

第6章 会計測定プロセスにおける「フロー」概念の位置づけ
    ―Mattessichの社会的実在論を手がかりとして―
 はじめに
 6.1 二元的測定対象観に対する批判的考察
  6.1.1 「価値の流れ」と「価値の変動」
  6.1.2 「フローを伴うストック変動」と「フローを伴わないストック変動」
  6.1.3 資産負債観に基づいて構築された会計測定論の問題点
 6.2 測定対象としての会計的実在
  6.2.1 Mattessichの社会的実在論
  6.2.2 Mattessichの評価論
  6.2.3 小括
 6.3 測定対象としての「フロー」と測定結果としての「ストック」
 6.4 残された課題

補論2 会計測定の信頼性
    ―倫理哲学の会計研究への応用―
 はじめに
 補2.1 「信頼」概念の定義
 補2.2 ヒトとモノの関係としての「会計測定の信頼性」
  補2.2.1 FASB概念フレームワークにおいて想定されている会計測定観
  補2.2.2 写像的会計測定観の問題点
 補2.3 ヒトとヒトの関係としての「会計測定の信頼性」
  補2.3.1 現象(フェノメノン)の二重性
  補2.3.2 認識主体の二重性
 補2.4 第三者視点の必要性
 補2.5 おわりに

終章

参考文献
索引