画像がありません

公会計の概念と計算構造

亀井 孝文 著


第1刷発行日2013/11/16
判型A5判
ページ数288ページ
本体価格3,500円
定価
在庫状況在庫あり
ISBN978-4-8394-2137-3
内容
 主要な理論的検討の対象をドイツ公会計とし、ドイツ近代会計理論との相互連関を解明。発生主義概念の陰に隠れてしまいかねない現金収支の把握が公会計の最も基本的な役割で資金として再構築すべきだと考察。

目次
 はしがき
 略語一覧

序章 問題の所在
 第1節 現行制度における簿記法の理解とその問題
 第2節 計算書作成に関する論理とその問題
 第3節 簿記システムにおける計算構造とその問題
 第4節 予算と会計との乖離の問題
 第5節 「公会計」概念の未成熟性とその問題
 第6節 財政の論理とその問題

第1章 基本問題の再検討
 第1節 「会計」の概念の問題
 第2節 簿記法選択をめぐる議論
 第3節 わが国の現行制度における簿記法
 第4節 認識基準の理解
 第5節 公会計における2つの計算領域
 第6節 計算書の3本化とその勘定系統

第2章 公会計における簿記の考え方
 第1節 公会計の簿記法をめぐる所説
   (1) 複式簿記の導入を否定する説
   (2) 複式簿記の導入に懐疑的な考え方
   (3) 公会計と複式簿記との必然的な結合を否定する考え方
   (4) 複式簿記とともに単式簿記の適用も肯定する説
   (5) 複式簿記の導入を肯定する説
 第2節 各種公会計モデルにおける計算書間の連関
   (1) 大蔵省主計局法規課「官庁会計複式簿記思案(未定稿)」(1963年)
   (2) 日本公認会計士協会近畿会・社会会計委員会「地方自治体財務会計制度に関する研究」(1982年)
   (3) 地方自治協会(財団法人)「地方公共団体のストックの分析評価手法に関する調査研究報告書」(1987年)
   (4) 社会経済生産性本部(財団法人)「決算統計に基づいた企業会計的分析手法研究報告」(1997年)
   (5) 日本公認会計士協会「公会計原則(試案)」(1997年,2003年改訂)
   (6) 自治省「地方公共団体の総合的な財務分析に関する調査研究会報告書」(2000年)
     総務省「地方公共団体の統合的な財務分析に関する調査研究会報告書―「行政コスト計算書」と「各地方公共団体全体のバランスシート」―」(2001年)
   (7) 日本公認会計士協会「公会計概念フレームワーク」(2003年)
   (8) 財政制度等審議会「省庁別財務書類の作成について」(2003年)
   (9) 東京都「東京都会計基準」(2005年)
   (10) 新地方公会計制度研究会「新地方公会計制度研究会報告書」(2006年)
      総務省「新地方公会計制度実務研究会報告書」(2007年)
 第3節 簿記法の決定要因としての計算書作成
 第4節 公会計簿記法の検討に求められるもの

第3章 多段階簿記の構造
 第1節 2009年改革前の公会計制度
 第2節 カメラル簿記と拡張カメラル簿記
   (1) カメラル簿記の特徴と問題
   (2) 拡張カメラル簿記
   (3) 多段階簿記の生成
 第3節 結合予算計算の概念
 第4節 多段階簿記の構造
   (1) 多段階簿記の意味と基本的思考
   (2) 多段階簿記の記帳原則
   (3) 多段階簿記の基本的な記帳事例
   (4) 多段階簿記の発展的な記帳事例
 第5節 多段階簿記の歴史的意味

第4章 グループ簿記論
 第1節 カメラル簿記の発展とその改良案
 第2節 グループ簿記提唱の背景
   (1) 収支学説とグループ簿記
   (2) 当時の市町村会計の状況
 第3節 グループ簿記の構造
   (1) 計算の基本的構想
   (2) 時順計算書
   (3) 事項計算書
   (4) 財産計算書
   (5) 収入および支出のグルーピング
 第4節 グループ簿記に基づく結合計算書および統合予算書
   (1) 統合計算書
   (2) 統合予算書
 第5節 グループ簿記の意味と目的

第5章 公会計収支学説の基礎
 第1節 フリーデル説とヨーンス説
   (1) 収入および支出の分類の相違
   (2) 概念の異同
   (3) 貸借対照表観と会計目的の相違
   (4) フリーデルの財産計算書とヨーンス説
 第2節 ドイツ収支学説とフリーデル説
 第3節 カメラル簿記の生命力

第6章 公会計における収支学説の系譜
 第1節 動的会計理論と収支学説
 第2節 動的会計論の諸説
   (1) シュマーレンバッハからヴァルプへ
   (2) ヴァルプからコジオールへ
 第3節 公会計収支学説
   (1) フリーデル
   (2) ヨーンス
 第4節 収支学説における企業会計と公会計の接点

第7章 カメラルの簿記とその限界
 第1節 簿記法の相違と収支概念
 第2節 カメラル簿記の記帳例
   (1) 予算執行管理表の作成
   (2) 拡張予算執行管理表の作成
 第3節 カメラル様式による計算書の応用
 第4節 カメラル帳簿の特徴と限界

第8章 複式簿記の基礎と計算構造
 第1節 計算書の体系における企業会計と公会計の相違
 第2節 計算書の作成と複式簿記の計算構造
   (1) 一取引一仕訳(並列型システム)の概念
   (2) 一取引一仕訳(直列型システム)の概念
   (3) 一取引二仕訳(並列型システム)の概念
 第3節 簿記システムと公会計モデル
   (1) 「一取引二仕訳」採用モデルにおける計算構造の問題点
   (2) 勘定構造から見た公会計モデルの特徴
   (3) 簿記法から見た公会計モデルのもつ意味
 第4節 複式簿記における新しい勘定連関
   (1) 新しい勘定連関についての基本的考え方
   (2) 新しい勘定連関図
   (3) 複式簿記における基本的条件

第9章 公会計における複式簿記導入の方法
 第1節 新しい勘定連関についての確認
 第2節 取引に関する仕訳
   (1) 一取引二仕訳(並列型システム)の方法
   (2) 一取引一仕訳(修正並列型システム)の方法
 第3節 精算表の作成
 第4節 公会計の理論と実用性

第10章 複式記帳の展開と予算の統合
 第1節 資金計算書作成についての問題
 第2節 NKFモデルにおける複式記帳法の具体例
 第3節 NKFモデルにおける記帳方法の意味
 第4節 複式簿記システムへの予算勘定の統合
 第5節 予算勘定を組み込んだ精算表の作成
 第6節 カメラル簿記の特徴の応用

第11章 公会計におけるコンテンラーメンの設計
 第1節 コンテンラーメンの理論と変遷
 第2節 公会計コンテンラーメンの提案と実践
   (1) 1990年代における先駆的公会計モデルのコンテンラーメン
   (2) 2000年代における各州の公会計モデルとコンテンラーメン
 第3節 わが国における新しい公会計モデルの勘定組織
   (1) 東京都会計基準における勘定組織
   (2) 総務省・基準モデルにおける勘定組織
 第4節 新しいコンテンラーメンの設計

第12章 公会計の変容と今後
 第1節 会計史のなかの公会計改革
 第2節 公会計の外的動向
   (1) 市場化
   (2) 政治化とビジネス化
   (3) 国際化
   (4) 市民化
 第3節 公会計の内的動向
   (1) 普遍化
   (2) 多様化
   (3) 複雑化
   (4) 管理化
 第4節 今後の動向
   (1) 「エレガントな理論」と「インエレガントな理論」
   (2) 国際的なコンバージェンスの進展

第13章 統合システムの構築
 第1節 2009年ドイツ公会計制度改革
   (1) HGrGの改正
   (2) 予算書および決算書の体系
 第2節 プロダクト予算の導入
 第3節 公会計制度の統合システム
 第4節 新しい記帳システム
 第5節 ドイツ新制度の意味

終章 新しい公会計制度への提言
 第1節 基礎的な概念の再検討
 第2節 計算構造の明確化―簿記システムと計算書との整合性―
 第3節 コンテンラーメンの必要性
 第4節 統合システム化
 第5節 公会計制度に関する法的規範
   (1) その考え方と規範設定主体
   (2) 法的規範の体系化
   おわりに

 索引
 初出一覧