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会計規準の統合と分岐
EUとドイツのなかのIFRS

佐藤 誠二 著


第1刷発行日2020/10/31
判型A5判
ページ数256ページ
本体価格3,300円
定価
在庫状況在庫あり
ISBN978-4-8394-2185-4
内容
 本書は、2005年以降、IFRS(国際財務報告基準)の受容(Adoption)と接近(Convergence)に向けた会計制度改革を果たしたEUとその加盟国、特にドイツを対象とし、統合と分岐(多様性)という2つの側面からその制度改革を可能にさせているメカニズムとそこでの課題を析出。EUという超国家的な経済圏をモデルに、その中でのEUふぁ「国際的会計基準(英:international accounting standards、独:internationale Rechnungslegungsstandards)」と呼称するIFRSの存在意味を究明した。

目次
序章 会計国際化への考察視点
―本書の目的と構成―
 第1節 本書の目的と視点
 第2節 本書の構成

第1章 EUのIFRS導入に対する枠組み
―欧州型TFVと慎重性原則―
 はじめに
 第1節 IFRS受容の要件としての欧州型TFV
 第2節 EU会計現代化改革とIFRS
  1.欧州型TFVとEU会計指令
  2.会計現代化によるIFRSへの接近
 第3節 欧州型TFVと資本維持・配当測定目的
 第4節 欧州型TFVと慎重性原則との相互補完性
 むすびとして

第2章 EUにおけるIFRSの承認システム
―欧州委員会「IAS適用命令の評価」を中心に―
 はじめに
 第1節 EUのIFRS承認メカニズム
 第2節 「IAS適用命令」の影響分析
  1.「IAS適用命令の評価」の概要
  2.「IAS適用命令の評価」と「IFRSの欧州化」
  3.「IAS適用命令の評価」と長期的資金調達改善政策
 第3節 「IAS適用命令の評価」の最終報告
 第4節 「IFRS適用命令の評価」に対するIFRS財団の反応
 むすびとして

第3章 欧州における会計エンフォースメント
―ESMA「ピア・レビュウ報告」を中心に―
 はじめに
 第1節 ESMAのエンフォースメント・ガイドライン
 第2節 ESMAのエンフォースメント調査
  1.エンフォースメント調査の概要
  2.エンフォースメントに要する人的資源と財政的資源
  3.エンフォースメントに対する選択方法
  4.エンフォースメント手続きへの対応
  5.エンフォースメント調査の結果
 むすびとして

第4章 ドイツ会計制度におけるIFRSの内法化
―資本市場指向改革の含意―
 はじめに
 第1節 ドイツの会計国際化改革とIFRS
  1.EUの会計国際化改革
  2.ドイツの資本市場指向改革
 第2節 ドイツ会計制度の法体系とiFRS
  1.資本市場指向企業の定義
  2.IFRS適用の場としての規制市場
 第3節 資本市場指向企業の会計報告
  1.商法上の会計報告規定
  2.証券市場法制における開示規制
 第4節 資本市場指向と非資本市場指向との区分
  1.ドイツ企業のIFRSへの適用状況
  2.非資本市場指向企業に対する規制緩和
 むすびとして

第5章 IFRSが商法会計目的に及ぼす影響
―会計現代化をめぐる議論―
 はじめに
 第1節 商法上の年度決算書に対する会計目的
 第2節 会計法現代化法とIFRSにおける会計目的
  1.年度決算書受け手の情報要求
  2.IFRS決算書の会計目的
  3.会計法現代化法の会計改革目的
 第3節 IFRS会計の商法会計への不適合性
 むすびとして

第6章 商法会計法の規範構造とIFRS
―IFRSへの調和と対抗―
 はじめに
 第1節 年度決算書の作成目的と規範構造
  1.商法会計法における年度決算書作成目的
  2.商法会計法における規範構造
  3.一般規範としての正規の簿記の諸原則
 第2節 商法会計法における貸借対照表関連的諸原則
 第3節 商法会計法の解釈源泉とその相互関係
 第4節 会計法規範の階層構造

第7章 IFRSが基準性原則に与える影響
―商法会計と税法会計との離反―
 はじめに
 第1節 ドイツにおける商法会計と税法会計
 第2節 会計法現代化法と基準性原則
  1.会計法現代化法の税務中立的転換
  2.基準性原則の破棄の増大
 第3節 会計法現代化法と統一貸借対照表
  1.会計法現代化法前の統一貸借対照表実務
  2.統一貸借対照表と電子貸借対照表
 むすびとして

第8章 商法会計の現代化改革とIFRS
―公正価値コンセプトと債権者保護―
 はじめに
 第1節 年度決算書とIFRS
 第2節 「付すべき時価」と「付すべき価値」
  1.「付すべき価値」の概念
  2.「付すべき時価」の概念
 第3節 金融商品と付すべき時価
  1.金融商品に対する評価規定の成立経過
  2.金融商品の「付すべき時価」による評価
  3.「付すべき時価」による金融商品評価への補完措置
 第4節 年金債務と付すべき時価
  1.年金債務の「付すべき時価」による評価
  2.「付すべき時価」による年金債務評価への補完措置
 むすびとして

終章 会計規準の統合と分岐
―グローバルとローカルの間―
 第1節 EUの会計統合戦略
 第2節 グローバリゼーションとIFRS
 第3節 EUのなかのIFRS
 第4節 ドイツのなかのIFRS
 第5節 IFRSの存在とその意味

引用・参考文献

索引